2024.3.5.Tue
今日のおじさん語録
「人間は言葉でできていますから自分自身を言葉にしてみるととてもスッキリするのです。/伊丹十三」

갈옷を買いに、
済州島に行ってみた!

撮影・文/高原健太郎

この連載の第一回で、故郷である済州島への帰省の模様をレポートしてくれた、大学生にしてクリエイターの高原健太郎。彼がその際にお土産で買ってきてくれた現地の民族衣装が無性に格好よかったので、「ぼくのおじさん」はこれをぜひともみんなにも紹介したくなった! そこで改めて彼に済州島へと渡ってもらうとともに、この服について取材・買付けをしてきてもらった。日本とはとても縁の深い隣国の島に、こんなエキゾチックで魅力的なファッション文化がまだ残っていたなんて、今まで知らなかったぞ!

済州島に伝わる
民族衣装を探して

今回ぼくが済州島を再び訪れた理由は、カルオッ(갈옷)と呼ばれる民族服を買うためだ。

昨年韓国を旅した際に、土産として山下さんにカルオッをお渡ししたところ非常に喜んでくださり、改めてこの服のことを調べ、そして買い付けるために、済州島に再び向かう運びとなった。

カルオッ(갈옷)は茶色に染められた生地でつくる、済州島の夏服だ。갈 は褐色の褐(カッ)から由来しており 、옷 が服を表す。

蛇足だがこのように漢字を共通に持つ単語は、似た発音をするケースが多い。例えば〝道路〟はハングルで〝도로〟と表記し、トロと発音する。

カルオッの特徴は柿渋で染められた生地だ。伝統的なカルオッは땡감と呼ばれる、いわゆる青柿を使って生地を染めて天日干しすることで特有の色味になる。柿渋で染めることで生地に強度が出るため、聞くところによると大昔は柿渋で染めた高密度の生地を、船の帆として利用していたとか。

まだまだ韓国語が未熟なぼくに対してもおばちゃんは島訛りの韓国語と身振り手振りで一生懸命説明してくれた。海に囲まれている済州島の魚市の店先には男性の姿が目立つが、カルオッを販売している方はそろってほぼ全員女性だ。済州島出身の父によると、昔からカルオッを作るのは女性の仕事だったという。

彼女がつくっているのは、作家性の強い上等な仕立てのカルオッ。
こちらが染めや縫製にこだわり抜いた、本格仕様のカルオッ。「ぼくのおじさん」のアトリエに置いてあるので、訪れる機会のある方はぜひ見てもらいたい。

染めや仕立てにこだわり抜いた作家性の強いカルオッもあるが、今回持ち帰ってきたのは一般流通用に製造されたもので、現在は茶色以外にもネイビーやグレーなど色展開も豊富だ。生地も薄手でゆったりとしたつくりなので、ワークウエアのような感覚で、太めのチノパンや膝上丈のショーツと合わせたい。元来済州島の夏の普段着なので、汚れなど気にせずガシガシ着るのがよいと思う。おばちゃんも「カルオッは畑仕事の汚れが目立たないように茶色に染められているのであって、綺麗なカルオッはカルオッではない」という、本気で言ってるのかわからないラブリーな冗談を浴びせてきた。

実はカルオッはセットアップの仕様なのだが、まだぼくには上下で着こなすのはハードルが高い。ちなみにお店のおばちゃんに頼めば自分のサイズに合った1着をつくってくれる。

柿渋染めの
手づくりスカーフも!

済州島では同じ染めの技法を使った小物や帽子なども販売しており、今回はシンプルなスカーフを持ち帰ってきた。このスカーフは済州島のおばちゃん自らが染め、縫い上げたものだ。

今年「ぼくのおじさん」で実験的に販売した、即完売したというスカーフ。

柿渋で染めることにより生地にハリが出るため、蒸し暑い夏場でも肌離れがよい。さらにおばちゃんは一回柿渋で染めた生地をさらにクチナシ、タマネギ、チョク(韓国の無形文化財115号として指定されている植物)などを使い再度仕上げの染めを施している。ぼくはリネンの白シャツの首元に巻くことが多い。発色が落ち着いているので、嫌らしさがなく気に入っている。

遠くから見かけたので声をかけることはできなかったが、帰路の道中偶然カルオッを着ているおじさんを発見。作務衣的な感覚なのだろう。

「ぼくのおじさん」では、ぼくが現地で買ってきたこのカルオッとスカーフを販売してくれるという。隣国にも関わらず日本人としてはなじみの少ない、韓国・済州島の文化が、この洋服を通して少しでも伝われば幸いだ。

ご購入はこちらからどうぞ!

高原健太郎

「MCNAI MAGAZINE」メンバー、フォトグラファー。神戸出身の22歳。2023年から大学で経済学を学んでいる。
@kentaro_takahara

 

 

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