2023.2.8.Wed
今日のおじさん語録
「字は病や毒から分泌される。そして、人を病ませ、毒する。/開高健」
時計芸術研究所
連載/時計芸術研究所

所長・松山猛さんに教わる
「機械式時計を
メルカリで買う方法」

撮影(写真・動画)/高原健太郎
文/山下英介

機械式時計が絶滅の危機に瀕していた1970年代に、いち早くその価値に気づいて再ブームのきっかけをつくった、偉大なる〝時計のおじさん〟松山猛さん。そんな彼が、ぼくたちに時計の本当の楽しみ方を教えてくれる新しい場所が、当研究所である。今回はみんな気になっているけどなかなか聞けない、「メルカリで機械式時計を買う方法」について研究した!

3万円で買える
機械式時計って?

前回の記事にあるように、松山さんが初めて機械式時計を手に入れたのは、1970年代初め。つまり約50年にわたって、その移り変わりを目の当たりにしてきたってことだ。アール・デコのアメリカンウォッチにはじまって、カルティエ、パテック フィリップ、フランク・ミュラー、F.P.ジュルヌetc.……。数え切れないほどたくさんの時計を紹介して、手に入れて、ときにはブームを起こしてきた松山さん。実を言うと彼は、かつて1日に100個のムーブメントを購入したという伝説を残している。凄まじいね!

そんな松山さんが、近頃気になっていることが、時計価格の著しい高騰だ。もちろん、そこには市場ニーズ、ブランディング、生産コストの高騰、為替レートの変動、わが国の経済力・・・といった様々な理由が存在するので、一概に否定するわけにはいかない。しかし機械式時計が一部のお金持ちにしか手の届かない趣味になってしまったら、いつしかその文化は歪み、衰退してしまうだろう。

松山さんがこの日着けていたのは、アメリカ発祥のウォッチブランド、ハミルトンのレクタンギュラー(長方形)ケース。今はミリタリーウォッチで有名なブランドだが、1940年代までは、アール・デコの影響を受けた角形のドレスウォッチが有名だった。こちらのケースは当時のものによく見られる金張りではなく、14金無垢製。

「機械式時計には、希少価値やリセールバリュー以外にもたくさんの楽しみ方があるということを、今の若い人たちにも伝えたい!」。これこそが、松山さんの掲げた、本研究所の目的なのである。

というわけで第2回目は、そんなテーマにぴったりの内容をお届けする。ズバリ、「機械式時計をメルカリで買う方法」である! 気になって検索するものの、変なモノを掴まされないか心配だったり、そもそもこういう時計の買い方はアリなのか、と自問自答したりして、今まで実際に手を出したことはない・・・という皆さん、安心して! キャリア50年の松山さんも、けっこうチェックしているし、なんなら落札しているから(笑)!! 

こういう企画はなかなか雑誌の体裁ではやりにくいので、今回はYouTubeを使って皆さんにご覧いただくことにした。2023年からの「ぼくのおじさん」は動画にも力を入れていくので、期待してほしい!

下の写真は、今回「ぼくのおじさん」の編集人が、松山さんのお墨付きのもと手に入れた戦利品。付属していた型押しカーフのベルトがちょっとチープだったので、「キュリオスキュリオ」でピッグレザーのものに交換したのだが、スーツからカジュアルまで、クラシックなファッションによく似合うので、とても重宝している。どうみても●万●●円(価格はYouTubeを確認して)だとは思えないでしょう?

前回松山さんが紹介してくれたアメリカの時計メーカー、グリュエンが1940年代に展開し、人気を集めたシリーズ「VERI-THIN(ベリシン)」。極薄を意味するシリーズ名の通り、スタイリッシュな金張りのケースと、緩やかにカーブした風防との組み合わせとが、実に美しい。

主張の強いビッグサイズのケースばかりがもてはやされる現代においては異彩を放つ、コンパクトで繊細なケース。その80年前につくられたムーブメントが、元気に時を刻む様子は、なんだかとても健気で、愛おしく思えてならない。やっぱりぼくたちはまだ、松山猛さんから学びたいこと、学ばなくちゃいけないことがたくさんあるんだ!

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