2025.11.22.Sat
今日のおじさん語録
「高いところへは、他人によって運ばれてはならない。/ニーチェ」
名品巡礼
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連載/名品巡礼

「スポーツシャック」の
ヘビトラデイパック
完成記念特集②
小林泰彦の道楽宣言!
「このデイパックには
〝侘び寂び〟がある」

撮影・文/山下英介

2024年に制作をスタートさせ、サンプルの制作を繰り返してきた「スポーツシャック」の『ヘビトラデイパック』が、ようやく完成! こだわりすぎて、ずいぶん時間がたっちゃいました! というわけで綿密すぎるデザインを手がけた小林泰彦さんに、その制作にかけた想いを伺ってきました!

小林泰彦のバッグの原風景
〝フランス型〟を再現!

●11月28日19時〜よりオンラインショップで販売開始!

小林さんがデザインしたデイパックがついに完成しましたね! こちらのデザインのルーツって、いったどんなものなんですか? 
これがついに完成した『ヘビトラデイパック』! その詳細は次の記事をご覧ください!

小林 『ヘビトラ大図鑑』でも書きましたが、フランスのトラディショナルなリュックサックですね。フランス語では「SAC a DOS」かな。いつからあるかと聞かれると困っちゃうけど(笑)、戦後はすでにこのスタイルでした。だからシャモニーに行ってリュックを買おうとしたら、この形しかなかったでしょうね。

小林さんが所有する〝フランス流〟バックパック。『ヘビトラ大図鑑』のカバーにも「一本締めトラッドザック」の名で登場している!
上はおにぎりのように丸いフォルムの〝ドイツ型〟。右はスイスで生まれた〝キスリング〟型。どちらもクラシックな登山用リュックのデザインだ。
小林さんご自身も、この〝フランス型〟を背負って山に行かれていた?

小林 そうですよ。ぼくが高校生で山登りを始めたときは日本全国〝キスリング型〟の時代だったんですが、それしかないから、みんな嫌々背負ってたんですよね。そんなときにルネ・デメゾンとかガストン・レビュファといったフランス人の登山家たちがこのタイプを背負っているところを写真で見て、「いいね〜」って。輸入品が安く買えるようになったら、みんなこれを買いましたね。

リュックサックでは〝ドイツ型〟も人気だったと聞きますが。

小林 ドイツのリュックサックはおにぎり型なんですが、これも当時すでに古くなっていたんですよ。だからフランスだけではなく、ドイツもイタリアもスペインも、リュックサックはみんな〝フランス型〟になりました。

やっぱり機能的に優れていたということですか?

小林 背負いの力学として、全くもって正しかったですね。このバッグは用途としてはベースキャンプからアタックする時にだけ使う「アタックザック」。古い山道具屋さんにこれ見せたら「いいアタック持ってますね〜」って言われますよ(笑)。

このバッグは私の道楽だ!

昔の「スポーツシャック」でも、こういうバッグをつくられていたんですか?

小林 いや、昔の「スポーツシャック」は全部アメリカ風だから、ヨーロッパは出てこないんですよ(笑)。1970年代にアメリカで爆発的に流行ったアウトドアブームに則ったブランドでしたからね。

あ、てことは復刻ではないんですね! それをあえて今回つくった理由はなんですか?

小林 これは完全に私の道楽ですよね(笑)。でも、つくっていただけてよかった。実はダメなんじゃないかと思っていたんですが。

藤本さんががんばったそうです(笑)。具体的にモチーフにしたブランドなどはあるんですか?
こちらが小林泰彦さんが描いたデザイン画。まるでひとつの作品だ!


今どき探してもなかなかないヴィンテージテイストのデザインは、当然〝ヘビトラ〟スタイルに抜群に似合う! アメカジのみならず、ヨーロッパっぽいカジュアルスタイルにも合わせてみたい。それにしても、小林さんが描いたロゴが効いてるな〜。

小林 どのブランドということではなくて、全部を集約して典型的なひとつのバッグにすると、こうなるんですよ。でも今のフランスに、こういうバッグはあるのかなあ。

おそらくないと思います。

小林 だからこれをシャモニーに持って行って、山道具屋のオヤジに見せてみたいね(笑)。どういう顔をするんだろう。

プロにも自信を持って見せられる逸品が完成したということですね!

小林 結局ヘビーデューティーって、しっかり機能するってことだから、飾りで付いているものはないんですよ。すべてのデザインに歴史と意味がある。ただ、どうせ付けるものだったら格好よく付けたほうがいいじゃないですか。これは私の標語なんですが「しっかり働くモノは必ず美しい」んです。そういう意味では、このバッグも縫い方にはこだわってもらいました。

いや、本当にカッコいいと思いますよ!

小林 もう言いたいことは全部言いましたから(笑)。きっと今どきマジメにこんなバッグをつくってるアウトドアメーカーはないでしょうね。機能的に考えたらズックなんて重いしゴワゴワだし、あるわけないんですよ。ですから現代このバッグを持つことは、ある意味芸術的というか、〝侘び寂び〟の世界(笑)。千利休的なんですよ。

デイパックにおける〝侘び寂び〟! 最高ですね!

●特集③デザイナーの藤本孝夫さんが語る『ヘビトラデイパック』の全貌はこちら

●11月28日19時〜よりオンラインショップで販売開始!

「STANDARD SUPPLY 二子玉川」で先行販売中!

『ヘビトラデイパック』は、現在「STANDARD SUPPLY 二子玉川」で開催中のイベント「meet “HEAVY DUTY CLASSICS” ~ヘビトラを楽しむ~」で先行販売中! こちらのバッグとキー&コインパース以外にも、様々な小林泰彦さんプロダクツを購入できます。会期は25日(火曜日)まで。急げ!

●会期:2025年11月13日(木)~11月25日(火) ※水曜定休
●会場:「STANDARD SUPPLY 二子玉川」
●営業時間:平日12:00~19:00/土日祝11:00~19:00
●STANDARD SUPPLY 二子玉川
〒158-0094 東京都世田谷区玉川3-9-8 和田ビル1F
●Tel:03-5797-9311
●アクセス:東急大井町線・田園都市線「二子玉川」駅 徒歩4分

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