
連載
名品巡礼
最近、オーダーやビスポークという言葉が、すっかり富裕層の嗜みのような意味をもってしまった。確かにその技術は、ときの王侯貴族たちによって磨かれ、進化してきたものだし、その価格を考えると致し方ない側面もある。けれど、誰かのためにモノをつくるという優しい行為は、もっとみんなのために開かれているべきではないか?と心から思う。特に人間が生きていくのに欠かせない靴という分野においては、なおさらだ。目の肥えた富裕層向けのビスポークと、街場に根付いた庶民のビスポーク。どうしたって華やかな前者のほうに注目が集まりがちだけど、この両者には、本来優劣なんてないのだ。そこで「ぼくのおじさん」は、職人の街、フィレンツェで暮らす人々のために靴をつくり続ける日本人靴職人、松岡祥子さんにお話を伺った。誰かのためにものをつくるって、本当に尊い生き方だと思う。こんな職人さんがぼくたちの街にいてくれたら、日々の暮らしはどんなに豊かになるだろう?
コラージュ/澤田美野里(heso)
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誰かに喜ばれたくて。 フィレンツェ、 街場の靴職人物語 撮影・文/山下英介
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6 イタリア職人の ファンタジアって何だ? 木象嵌職人の望月さんが フィレンツェに 返したいもの 撮影・文/山下英介 -
5 「その仕事で メシは食えるのか?」 お鷹ぽっぽとかご細工。 東北の民芸品が ぼくたちの心をうつ理由 撮影・文/山下英介 -
4 寒い山形から、 ぽっかぽかの愛。 「ぼくのおじさん」が共感する セーター工場の物語 撮影・文/山下英介 -
3 クラフツマンシップと “夢”の融合が生んだ、 常識破りの 「手縫いダッフルコート」 撮影・文/小曽根広光 -
2 Made in 燕三条。 水落さんの 「日本カミソリ」は 〝手のひらにおさまる日本刀〟! 撮影・文/佐渡一草 -
1 渋谷にいる『ぼくのおじさん』、 テーラーケイドで スーツを仕立てたい 撮影/古江優生
文/山下英介