2026.4.8.Wed
今日のおじさん語録
「黒は臆病者のユニフォームであるかもしれない。/加藤和彦」
名品巡礼
26
連載/名品巡礼

狂気のセルフビルド
アトリエが完成!?
天才革職人が
ようやく見せた
〝手縫いの極意〟

撮影・文/山下英介

今まで「ぼくのおじさん」のアトリエで2回にわたってトランクショーを開催した、レザーブランド「クレバレスコ」。今回はそのものづくりの現場と作業風景を、初めて撮影することができました! 3回目のトランクショーも開催するから、みんな来てくださいね。

超絶技巧の
レザープロダクトが
生まれる場所

東京から離れた場所だからこそ、独自のカルチャーが息づく長野県の伊那地方。

「ぼくのおじさん」が2年前から追いかけている天才レザー職人、「クレバレスコ」の西森裕矢さん。実をいうと編集人は彼の仕事の模様をずっと取材したかったのだが、「アトリエが完成しない」という理由で頑なに拒まれていたのだった。しかもその内外装はセルフビルドで、いつ完成するのかわからないという・・・。しかし2026年春、ついにアトリエが〝ほぼ〟完成したとの報せが! 編集人はさっそく、彼の生活と仕事の拠点である長野県伊那郡に向かった。

躯体工事以外の全てを西森さんが手掛けたというアトリエがこちら。当たり前だが床も、壁も、備え付けの什器もすべて、だ! 西森さんは説明書さえ読めば大抵のものはつくれるという特殊技術の持ち主だ。ちなみにこちらはまだ未完成で、100%納得のいく仕上がりになった暁にはショールームとして使われるかも!?

東京からクルマで約5時間。彼が自宅兼アトリエを構えるのは、お世辞にもアクセスがいいとはいえない山あいの小さな町だ。この建物はもともと実家の近くにあった喫茶店で、廃墟寸前になっていたところを買い取り、自ら内外装の工事を重ねてここまでつくりあげたのだという。・・・といっても、初対面の人だったら信じられないと思う。だってこの仕上がりですよ!? 素人のDIYのレベルを遥かに超えてるって!

ただし2回のトランクショーを重ねて、西森さんがつくるプロダクトの驚くべきクオリティと、その人となりと多少は心得てきた編集人にとっては、むべなるかな、ではある。

彼がこの地にアトリエを構えたのは、決してノスタルジーに浸るためじゃない。そしてアトリエをセルフビルドしたのも、DIYが好きだから、というわけじゃない。あくまで「そのほうが仕事がはかどるし、いいものがつくれる」という合理的な理由からなんだ。

この広さがあればたくさんの素材をストックして、常にその在庫を把握することができるし、広げた革をじっくりと吟味することができる。そして自分が最も快適に過ごせるよう設計されたこの内装であれば、毎日の作業も苦にならない、ということだ。

天然素材であるレザーは部位によってクオリティに違いがあるため、光に当てて場所ごとの特性を見極めてから裁断する。都心の小さなアトリエでは、意外とうまくできない工程だ。レザーのストックを一目瞭然の状態にしておけるため、まさかの在庫切れという事態にも陥りにくいという。

実際の作業風景を見せてほしい、という編集人のリクエストに応えてくれた西森さん。1本の糸の両端に針を通し、同時に表裏から縫って、革の中で糸をクロスさせる「サドルステッチ」という手法で、スイスイと革に糸を通していく。この縫い方は糸が摩擦で固定されるためにほつれにくいというメリットがあるそうで、実際のところ西森さんのもとに「糸がほつれた」というクレームは、今まで一度も寄せられたことはないという。

手縫いのレザープロダクトならではの作業「サドルステッチ」。西森さんのステッチは、手縫いとは思えないほどに細かいピッチで緻密に縫い上げられている。縫製後にステッチを押さえてなじませるというひと手間も経て、「クレバレスコ」のプロダクトが完成する。

「ぼくはつくるのめちゃくちゃ早いと思います。このスピード感でこのクオリティを実現できる職人はあまりいないはずですよ」とサラリと言うが、確かにその手さばきは凄まじく、編集人の写真の腕ではなかなか決定的瞬間を撮るのも難しい。でも、そんな仕事が早い合理主義者の西森さんであっても、1日に財布ひとつつくるのが精一杯だというから、驚かされる。国内外からのオーダーが引きもきらず、いまや納期は9〜10ヶ月となっているが、「クレバレスコ」のプロダクトがクオリティの割に安価で手に入るのも、こうした生産環境の賜物なんだろう。

西森さんの数少ない趣味が、ヴィンテージの顕微鏡コレクション。もともと革の破れのトラブルが発生したときに、繊維構造を観察するために購入したのがきっかけだというが、そのレストアも自分で手がけるらしい。

帰りがけにはアトリエのすぐ隣にあるお洒落なフレンチレストランでランチをご馳走になってしまったが、彼自身はそういった丁寧でお洒落なライフスタイルとは無縁で、毎日のランチは基本的にコンビニで済ませるという。

「生活を楽しむのは来世でいいかな」と笑い、年中無休で朝7時から夜23時まで革に向き合う暮らしを続ける西森さん。凡人にはとても真似できることじゃないけれど、だからこそ彼のプロダクトには、人の心を掴んで離さない凄みが宿っているんだ。

西森さんが作業中に着ていたレザー製のお手製エプロンがめちゃくちゃ格好いい! 本当に手が抜けないタイプの人なんだなあ。というわけで今回のオーダー会では、特別にこちらのご注文も受け付けます。オーダー価格は¥215,000〜。ほかのオーダー会では受け付けないらしいので、革を愛する人は、ぜひどうぞ。

今回は九段下で!
「クレバレスコ」

オーダーイベント

写真は前回のトランクショーで展示したサンプルです。さて、次回はどんなプロダクトが見られるかな?

今回で3度目となるトランクショーは、九段下のアトリエで開催します。広いスペースなので、こだわりのレザーサンプルもより見やすくなるはず。前回のトランクショーでご注文いただいた製品のお渡しもできますので、ぜひお越しください!

展開モデルや商品の価格はクレバレスコのHPをご参照ください。

【場所】

Atelier Mon Oncle Annexe

住所/東京都千代田区九段南2-2-8 「松岡九段ビル」201号室
※地下鉄九段下駅2番出口から徒歩4分程度
※靖国通り沿い、靖国神社の真向かいにあるビルの一室です



【開催日時】
⚫︎4月25日(土曜日)12:00~19:00
⚫︎4月26日(日曜日)12:00~18:00
※都合により直前に変更する可能性もありますのでご了承ください。


【納期】
9〜10ヶ月



【決済方法】
クレジットカード/現金




【予約】

予約優先(フリーでのご来訪もOKです)


【イベントのお問い合わせ】
info@mononcle.jp
もしくはDMにてお願いいたします。

  • SHARE
MON
ONCLE
オンライン
\ ストア /
テキストのコピーはできません。