2024.10.4.Fri
今日のおじさん語録
「雑草という植物はない。/昭和天皇」
お洒落考現学
15
連載/お洒落考現学

鴨志田康人と坂田真彦の
〝はじめての対談〟。
格好いいコートについて
語り合おう(前編)

撮影・文/山下英介

「ぼくのおじさん」の読者なら誰もが憧れるクロージング業界の重鎮、鴨志田康人さん。そしてヴィンテージからデザイナーズはもちろん、ストリートファッションの世界にまで精通したメンズファッション業界の兄貴分、坂田真彦さん。ともに業界の超重要人物ながら、今まであまり交わってこなかったふたりが、2024年の秋に初めてのコラボレーション! それぞれがディレクションを務めるブランドの合作で、ものすごいコートをつくったのだとか。そんな噂を聞きつけた「ぼくのおじさん」は、メディア初となるふたりの対談をセッティング。前編ではコートにまつわる思い出や、その流儀をざっくばらんに語り合ってもらった。 

鴨志田康人と坂田真彦
〝今まで絡まなかった〟
ふたりの関係

業界的には非常に新鮮なツーショット、ありがとうございます(笑)。そもそもお二方は、今までお付き合いがあったんですか?

坂田 いや、フィレンツェやロンドンで一緒に食事をさせてもらったり、高円寺の古着屋さんでばったり会ったことはありますよ(笑)。でも、お仕事でご一緒するのは今回が初めてですね。

お互いに対する印象って?

鴨志田 ヴィンテージストア※のオーナー(笑)。行けば必ず欲しいものがあるお店だったから。

※坂田さんが2006年〜2013年にかけて経営していたArchive&Styleのこと。
鴨志田康人
オフィスカモシタ代表。ビームスを経て1989年にユナイテッドアローズの設立に参画。そのバイイングや商品開発、そして自身の装いを通して、世界のクラシックファッション業界に最も大きく影響を与え続けた立役者のひとり。現在はPaul Stuartの日本におけるクリエイティブディレクターを務めるほか、国内外のブランドやショップのディレクションに携わる。

坂田 ずっと昔に鴨志田さんが悩まれていた、サンローランのショールカラーのニットガウンがあるんですが、あれは今やなかなか出てこないので、買って欲しかったです(笑)。

鴨志田 そんなことあったかな〜。ごめんね(笑)。

坂田さんにとっての鴨志田さんは、どんな存在ですか?

坂田 もちろん偉大なる業界の大先輩です。ぼくがデザイナーズ畑で育ったのに対して、鴨志田さんはセレクトショップ業界の第一人者で、クラシコイタリアファッションを世界に広めたすごい方。当時は〝カモシコ〟なんて異名もありましたよね?

坂田真彦
 アーカイブ&スタイル代表。国内外の様々なブランドのディレクターを歴任し、2006〜2013年にかけてはヴィンテージストアのオーナーとしても活動。メンズファッションのみならずアートやカルチャー全般における深い造詣を生かし、生地開発からプロダクトデザイン、空間ディレクションまでを手がける、唯一の存在だ。2023年秋冬コレクションから、SANYOCOATとS.ESSENTIALSのディレクターに就任。

鴨志田 そうだね(笑)。坂田くんはいつから社会人になったんだっけ?

坂田 ぼくは1990年に専門学校を2年で卒業して、パリコレクションでショーを開催していたデザイナーさんのアシスタントや、商事会社のデザイン事業部などを経て、1993年にメンズビギに入社したんです。TUBEで活躍されていた斎藤久夫さん※がディレクターに就任されるというタイミングで、面白そうだなと思って。

※1945年生まれのデザイナー。1979年に立ち上げたTUBEは今も健在! 大手セレクトショップのディレクターやアドバイザーなども歴任した、メンズファッション業界の重鎮だ。「ぼくのおじさん」で、松山猛さんと対談してもらったこことも。

鴨志田 ああ、そのタイミングか! じゃあ、斎藤久夫さんとの出会いが大きかったんですね。

坂田 そうですね。斎藤さんはデザイナーですが、鴨志田さんをはじめとするセレクトショップの方々とも深いつながりがあって、インポートや古着が大好き。どちらかというと当時のデザイナーっぽくない嗜好の方でしたから、大きく影響されました。

鴨志田 もともとトラッドや古着はそれほど好きじゃなかった?

坂田 ぼくはデザイナーズのジャケットに、501みたいな古着のジーンズを合わせて着たい人だったんです。それが例えばメンズビギだったり、コム・デ・ギャルソンだったという。コートでいうと、ベタなんですけどポール・ウェラーに一番憧れました。そのときはもう、鴨志田さんはビームスで現役バリバリでしたよね?

1984年に発売された「ザ・スタイル・カウンシル」の1stアルバムのジャケ写で、ポール・ウェラーが着ているコートのことですね。

鴨志田 あのアクアスキュータムのバルカラーコートは伝説ですよね。「ザ・スタイル・カウンシル」の頃、ポール・ウェラーはビームスが広告に起用していたし、お店にも来てくれましたよ。そのころぼくはギャラリー(インターナショナルギャラリービームス)にいましたけど、大量買いしてくれたもん。当時はフレンチアイビーの時代だったけど、モッズの人がこんなフレンチな格好していいの?って、すごく新鮮だったな。

坂田 鴨志田さんはそのときはどういう格好をされていたんですか?

鴨志田 どっぷりパリだったので、それこそヴィクトワールにあったKENZOのメンズをよく着ていました。まだ高田賢三さんが現役でバリバリにデザインされていた頃で、本当に格好よかった。だからエミスフェールに始まり、マルセル・ラサンス、KENZOかな。

坂田 当時のKENZOはぼくも好きで、少しグリーン味のあるネイビーのブレザーをよく着てました! 

鴨志田 でもぼくが一番影響を受けたのは、エミスフェールの店頭に立っていた頃のピエール・フルニエさん(アナトミカ創業者)ですね。それまでは『MEN’S CLUB』のアイビーやブリティッシュに憧れていたけれど、所詮は借り物のスタイルだったような気がします。それが80年代にビームスに入社して、パリでフレンチアイビーの立役者の方々やショップに出会えたことで、「自分はここだな」と思えたんです。1980年代半ばくらいのことだったかな。

意外ですね。今の鴨志田さんのスタイルからは、それほどピエール・フルニエさんの影響は伺えないので。

鴨志田 フランスの人たちって、絶対に人のマネはしないんですよ。だからこそぼくも、フルニエさんに憧れてもマネはしちゃいけないと思っていた。でも、彼の崩し方の方程式みたいなものは、ずいぶん勉強させてもらいました。

コートスタイルの原風景は
バラクータだった!?

鴨志田さんが現在手掛けているPaul Stuartのバルカラーコートにジョッパーパンツという、エレガントなカジュアルスタイル。落ち着いてるのに華やかな配色のセンスは、さすがのひと言!

坂田 フレンチがベースにあって、クラシコへと繋がっていくんですね。なるほどですね! ちなみに鴨志田さんにとって、コートの原風景はどこにあるんですか?

鴨志田 やっぱりアメリカントラッドがスタートだったので、ジョージ・ペパードが着ていたオフホワイトのステンカラーコートには憧れました。だから自分で買った最初のコートは、彼を真似して学生時代に買った、VAN JACKETの白いステンカラーコートでしたね。本当はバラクータのコートが欲しかったんだけど高くて買えなかったんだよな〜(笑)。

坂田 それ、斎藤久夫さんが着ていたと思います(笑)。

鴨志田 そうだったんだ。当時バラクータといえばみんなG-9を着ているところを、お洒落な人たちはヒネリであのコートを着てたんですよ。今でもくやしいな(笑)。

坂田 この業界でいうと、ぼくはやっぱり斎藤久夫さんのコート姿に一番憧れました。もう30年も前から、USネイビーの古着のコートはもちろん、それこそPaul Stuartのコートも着ていましたから。それはコーティングされた茶色い生地で、変形のダブルブレストだったんですが、よく「ものすごく高かったんだよ〜」って仰ってました。N.Y.の本店で買ったそうですよ。

フランス映画の影響も強かったんですか?

鴨志田 アラン・ドロンが着ていたショールカラーのドンキーコートとかは印象に残っているけど、フランス映画にはさほど影響を受けなかったですね。自分的には、フランスの格好よさってセルジュ・ゲンスブールみたいな、自分には真似できないような人から感じることが多かったかな。あのトレンチコートの着崩し方、最高だよね。

坂田 あの汚い感じがいいんですよね〜(笑)。絶対に真似できないけど。

鴨志田 あの崩しができる大人になりてえなって、心から思ったな。

坂田 鴨志田さん、もう超越されてますよ(笑)。

鴨志田 坂田くんはそういう憧れの人、いますか?

坂田 ジャン・ポール・ベルモンドも好きですが、コートでいうと、やっぱりぼくもセルジュ・ゲンスブールですね。

鴨志田 でも、当時のフランス人って、なぜかやたらとカナディアンコートを着ていたよね。マッキノーとも呼ばれるやつ。ぼくが80年代にパリに行くようになった頃は、みんなお決まりのように着ていた。

坂田 そうですか。時代なんですかね?

鴨志田 カジュアルに合わせるカナディアンコートと、スーツに合わせるオーストリアのローデンコートは、国民服レベルにみんな着ていました。今は本当に見なくなったけど。今でもパリの古着屋に行くとやたらとカナディアンコートが売られているのは、あの頃のヤツですよね。

坂田 それは知りませんでした! そういえばフランス人ではありませんが、パリの蚤の市で会ったアラン・フラッサーさん※もローデンコートを着ていて、とても格好よかったです。カラシ色のパンツを合わせていたかな。

※1945年生まれ。アメリカを代表する服飾評論家であり、デザイナーであり、スタイリスト。

鴨志田 ああ、わかるわかる(笑)。クリニャンクールでしょ? あそこに行くと、必ず格好いいヤツが見つかるよね。

格好いいコートスタイルの
条件ってなに?

パリで入手したというバーバリーのヴィンテージタイロッケンコートに、ドリス・ヴァン・ノッテンのニット、パラブーツというコーディネート。ヴィンテージを愛しながらも決して懐古趣味に陥らない、坂田さんならではの着こなしだ。
お二方ともコートを格好よく着られていますが、選びの基準とかはあるんですか?

鴨志田 やっぱりコートって、軍ものだろうがビスポークだろうが、生地や仕立てがちゃんとしてないと、いいフォルムが出ないし長持ちしないですよね。だから決して値段で価値が決まるわけじゃないけど、結果として高いものになることが多いという。坂田くんはどうですか? コートはたくさん持ってるでしょ?

坂田 もう数えたくないくらい持ってます(笑)。個人的な感覚でいうと、古いアクアスキュータムのコートはシャープでカクカクしてる印象だから、ちょっと自分には合わないかな、という基準はありますね。バーバリーのコートはそれに対して丸みがあるから着やすいんですけど。

鴨志田 ああ、そうかもね。ぼくも個人的な基準でいうと、なぜかダブルのトレンチコートは自分には似合わないと思っている。だから持ってはいるけど、着たことがないんですよ。

坂田 それは意外でした! お似合いになると思うんですけど。

鴨志田 本当は着たいんですよ(笑)。

着こなし方に対するこだわりはありますか? たとえばベルトを後ろで結ぶようなテクニックとか。

坂田 ぼくはベルトをきっちり締めるかダラッとせるか、どっちかですね。あんまりこだわりすぎず、ラフに着るのがいいと思います。

鴨志田 ぼくも自然体というか、気にしていない風に見せるということを、ものすごく気にしています(笑)。これがなかなか難しいんだ。

今回の対談は、ポール・スチュアートの旗艦店「ポール・スチュアート青山本店」の奥に併設された「The COPPER ROOM」にて行われた。COPPER(銅)を意味する店名通り、内装に銅板をふんだんにあしらったニューヨークテイストのバー。こういうお店は今の青山エリアでは貴重な存在なので、ぜひ行きつけにしよう!
住所/東京都港区北青山2-14-4 ジ・アーガイルアオヤマ1F
TEL03-6384-5763
営業時間/18:00〜24:00
鴨志田さんはコートを素材に関わらず水洗いしちゃうらしいですね。

鴨志田 ああ、新品は絶対に洗ってなじませますよ。

坂田 ウールもですか? ぼくはさすがにウールは怖くてやったことないです(笑)。

鴨志田 ウールだって全然大丈夫ですよ。

これを読んだ人は自己責任でお試しください(笑)。お二方は、今まで買い逃して後悔しているようなコートってありますか?

坂田 ぼくは綿ギャバとツイードのリバーシブルコート。新品でも買えるんですけど、なかなか合わないものが多くて。ずっと探しているうちに、今やヴィンテージでもいいものが出てこなくなっちゃいました。

鴨志田 買い逃したコート? そんなの思い出し始めたらきりがないよ(笑)。自分の場合仕立てることが多いんですが、目をつけていた生地がなくなるとすごく後悔するかな。

坂田 ぼくはコートはビスポークで仕立てたことがないんですよ。やっぱりいいですか?

鴨志田 やっぱり魅力ありますよ。既製では手に入らない生地はもちろん、フィット感や自分好みのボリューム感が得られますから。特にウールのコートは、仕立てだからこそのドレープ感が出るんですよね。

坂田さんはコートをつくる側の工程に精通されていると思いますが、やっぱりきれいなドレープ感をつくるのって難しいんですか?

坂田 ものすごく難しいですね。Aラインなのに裾の直前でドレープが崩れちゃうケースが多くて、長年型紙や縫製を工夫してきたんですが、なかなかうまくいかなかったんです。それがSANYOCOAT※で縫ってもらったら、全然イヤな感じに落ちなかった。それはやっぱり、イセ込みと、縫製の技術が優れているんですよ。脇線にかけて、布地を引っ張りながら縫う「引き縫い」という技術を使っているのですが、これがきれいに蹴回しが広がる秘訣なんです。

※自社ブランドであるSANYOCOATをはじめ、国内外の高級ブランドの縫製を手がける国内屈指のコートファクトリー「サンヨーソーイング青森ファクトリー」のこと。

鴨志田 バイヤー時代から、日本で一番いいコートを縫うファクトリーといったらSANYOCOATでしたから、さすがですよね。なかなかキャパが少なくて、早めに予約とらないと縫ってくれないんですけど(笑)、やっぱりトレンチコートはここじゃないとね。

坂田 トレンチコートはパーツも多いし、特にインバーテッドプリーツが難しいんですよね。普通のファクトリーだとやりたがらないです。

Paul Stuartと
SANYOCOATの
コラボコートって?

SANYOCOATの話が出てきたところで改めてお伺いしますが、今回は、ふたりがクリエイティブディレクターを務めるPaul StuartとSANYOCOATのコラボレートで、4着のコートを制作されたとか。このプロジェクトはどういう流れで始まったんですか?

鴨志田 あれ、どっちから言ったんだっけ(笑)? ぼくからだった?

坂田 いや、ぼくからお願いしました。やっぱりバルカラーコートの鴨志田さんのイメージがすごく印象深くて、『100年コート』のアニバーサリーモデルをどうしても着てもらいたかったんです。で、その流れでご相談させて頂いたという。

鴨志田 それはもう、こっちにとっては願ったり叶ったりの話じゃない? せっかく同じ会社でやってるんだし、自分としても、もっとコラボレーションしていきたいと思っていたので。

4モデルの制作については、どのように進められたんですか?

坂田 ツイードに関しては、鴨志田さんから〝フレンチ〟という具体的なキーワードを掲げて頂きましたが、コットンに関しては、逆に「ヴィンテージで面白いのある?」みたいなお題をぼくに投げて頂きました。そこで、ちょうど自分が持っていたUSアーミーのトレンチコートのライニングやディテールが珍しかったので、お見せしたんです。そうしたテーマをもとに、ディスカッションを重ねながら制作を進めました。

※コラボレートコートの詳細はこちら!

クラシックの定義は
もっと曖昧でいい

坂田さんにとって、鴨志田さんとの初めてのお仕事はいかがでしたか?

坂田 ひとつひとつが楽しかったです。本来なら表地に使うような高級な生地を、「重くなってもいいんじゃない?」なんてライニングに選ばれたりするので(笑)。パイピングの入れ方ひとつとっても、深い知見をお持ちでした。でも本当にすごいのは、昔のモノはもちろん今のモノもよくご存知で、その知識や体験を自在に行き来しながらコラボレーションができるところでしたね。

鴨志田 教科書っぽいものづくりってイヤだもんね(笑)。

坂田 ただ古くてレアなほうがいい、みたいな価値観って、世代的には小学生のときの切手ブームを思い出しちゃうんですよね(笑)。ぼくはそれより面白い服のほうがいいじゃんって思うんです。

鴨志田 ぼくはクラシックとかトラッドの畑にいると思われがちだけど、クラシックの定義って、もっと曖昧でいいと思っているんですよ。モードとの境目なんて実はないと思うし。でも、今の自分がそういう風に思えるのって、たくさんの古着を見てきたからなんですよね。坂田さんは、意外とこの業界では数少ない、そういう感覚をわかっておられる人。だから仕事でも仕事抜きでも(笑)、会って話すのが楽しいんです。カテゴリーに囚われた話なんてつまらないし。

坂田 光栄です(笑)。

ヴィンテージショップでは
買えないコートを目指して



ちょっと写真を見ただけでもタダモノではないオーラを感じさせる、Paul StuartとSANYOCOATのコラボレートコート
私も実物を拝見しましたが、客観的に見てもとんでもない完成度だと思います! 鴨志田さんは今回のコートの出来栄えに関しては、満足されていらっしゃいますか?

鴨志田 なんせ重いので(笑)、それだけは覚悟してもらいたいんだけど、これから何十年も着続けられるコートができたのは間違いないし、現代でこういうものをつくれるメーカーやブランドって、世界中を探してもないでしょう。だから相当ユニークなものができたと思いますよ。

やっぱり世界的に見ても、こういうコートをつくれるファクトリーは減っているんですか?

鴨志田 新品ではなかなかね。イギリスで1社、イタリアでは技術があってもこのテイストのコートはつくれないでしょう。間違いなく10社はない。

坂田 今やライニングを取り外せるトレンチをつくるだけでも大変ですよ(笑)。襟付けのハンドワークや、貫通ポケットのディテールなんて、なかなか難しいですから。

鴨志田 あれ、感動するよね(笑)。そして裏地がまたヤバい。これだけで普通のコートの重さになっちゃうんだけど。

坂田 あれ、ものすごく高い生地です(笑)。バックルのレザーもすごいですよ。ブライドルレザーですから。

鴨志田 この色がまたいいよね。

もうやりたい放題ですね!

鴨志田 偉い人に怒られないかな(笑)。

坂田 それは大丈夫だと思います(笑)。いいコートを手にいれる上ではヴィンテージという選択肢もありますが、最近は若い子たちを中心に世界的な古着ブームになってきて、価格はかなり高騰しています。当然いいサイズやコンディションのものは入手しにくくなっているので、そういう意味でもこのコートは貴重だと思いますね。

4モデルの中で、鴨志田さんのお気に入りのモデルってどれですか?

鴨志田 やっぱりバルカラーなんですけど、自分では苦手意識のあったツイードのトレンチが、ものすごく格好よかったです。このボルドー気味の色、最高ですよね。

坂田 この色柄、すごく鴨志田さんっぽいですよね。

鴨志田 スタイリングの幅が色々楽しめるんですよ。合わせ次第でフレンチっぽくもブリティッシュっぽくも着られるという意味では、これは最高だな。

英国生地だけど、鴨志田さんの中でこのコートはフレンチなんですね!?

鴨志田 またカテゴリーっぽい話して(笑)。だってフランス人は英国ものが大好きですからね。だからフレンチっぽい着こなしって、コーディネートが肝なんです。このコートでいうと、ドットのスカーフを合わせちゃうような。キメすぎると格好悪いから、あえてデニムを合わせたり、スウェットの上に羽織っちゃったりね。



表地、裏地、ベルト、細部の縫製、そしてそれぞれのコーディネート・・・。服好きなら間違いなく酒のつまみになりそうなコートが4着も! これは語り出したら朝までいけちゃいそうだ。というわけで、9月20日に公開する後編ではそれらをじっくり解説します!
分別くさくてすみません(笑)。同じコートでも、解釈次第で全く違う表情になるのが面白いですよね。

坂田 ぼくはチェックにチェックとか、趣味が悪くなるギリギリ手前のところで着こなしたいタイプなんです(笑)。デイヴィッド・ホックニーみたいに。

鴨志田 ホックニー、いいよね。表現の手法は違えど、坂田さんとは同じ思想を感じるな(笑)。

お二方には、今回のコートをこんな人に着てもらいたい!みたいな気持ちはありますか?

坂田 ぼくとしては、服好きな方だけではなく、自分のような古着好きに着てもらいたいという気持ちがありますね。そういう人たちを満足させられるようなものができたし、個人的にいうと古着のウールのコートって、どうしてもニオイが気になって着られないので(笑)。

鴨志田 あのニオイ、なぜか消えないからね(笑)。ぼくは、この面白さを分かってくれる人なら、どなたにでも着てもらいたいかな。古着好きな方にもガンガン着倒してもらいたいし、トラッド好きな方にも新鮮に思ってもらいたい。年齢なんて今や関係ないですからね。

というわけで後編は、ふたりがコラボレートした、4着のコートの全貌をご紹介したいと思います! 

後編(9月20日17:00公開)へ続く

鴨志田さんと坂田さんも参加!
10月12〜13日に
ポップアップストアを
オープンするよ

2024年の10月12日(土曜)〜13日(日曜)、今回ご紹介したPaul Stuart×SANYOCOATのコラボレーションコートが一堂に会するポップアップストアを開催します! 会場となる神楽坂の「Atelier Mon Oncle」には、鴨志田康人さんと坂田真彦さんも来場されるので(時間未定)、そのコートのこだわりを直接伺えるチャンス。期間内にコートをご購入された方には、鴨志田さんと坂田さんがコートに合わせて選んだヴィンテージのネックウエアをプレゼントしますので、ぜひこの機会をお見逃しなく。詳細な開催時間などイベントの詳細については、「ぼくのおじさん」の記事やInstagramにて、随時ご報告しますので、お楽しみに!

⚫︎日時/10月12日(土曜)〜13日(日曜)
12時〜19時
⚫︎場所/Atelier Mon Oncle
(東京都新宿区水道町1-9 しのぶ荘104)
⚫︎予約/不要
※プレゼントのネックウエアは数量限定となりますので、品切れの際はご了承ください。

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