2024.3.5.Tue
今日のおじさん語録
「人間は言葉でできていますから自分自身を言葉にしてみるととてもスッキリするのです。/伊丹十三」

「ぼくのおじさんと
珈琲FAROの
チャリティ蚤の市」
結果報告!
みんなで〝寄附〟について
考えよう。

去る11月25日に開催した「ぼくのおじさんと珈琲FAROのチャリティ蚤の市」は、おかげさまで朝から大行列ができるほどの賑わいに。お店に並べた商品のほとんどは購入されていき、結果としてたくさんの寄付金が集まった。そこで今回は、皆様から預かった大切な寄付金を、東京都で自立援助ホームや児童養護施設を運営する「青少年福祉センター」にお渡しするとともに、その理事長である荒船旦子さんに取材。児童養護施設の現状と、寄附という行為の意義について、お話を伺った。

少子化社会なのに
児童養護施設の子供たちが
増えているのはなぜ?

私が今回「青少年福祉センター」さんにご寄附を思い立ったのは、こちらが日本でも唯一の、いわゆる〝高齢児童(原則として15歳〜20歳の青少年)〟たちが暮らす施設だったことです。まずはこの施設の沿革を教えて頂けますか?

荒船旦子(社会福祉法人青少年福祉センター理事長) 当法人は、1958年に長谷場夏雄というひとが設立しました。長谷場は終戦後、18歳にして弟とたったふたりで満洲から引き揚げ、弟を児童養護施設である東京サレジオ学園(※もともと戦災孤児を保護する目的で設立された)に入れるとともに、自らもそこで指導員として働き始めました。彼はそこでカトリックと出合い神父の道を志すのですが、直面したのは終戦直後の現実です。当時の児童養護施設は、中学卒業までで終わり。うまく就職できなかったり、住み込み就職先を失った子たちは、住む場所も帰る家もありません。長谷場は、そんな子供たちの願いを叶えるために、小さなアパートで彼らと共同生活を始めました。子供たちと職員が寝食を共にし、洋裁や廃品回収などの仕事で働き、稼いだお金でみんなで一緒にご飯を食べる・・・。そんな暮らしから始まったのが私たちの施設です。最初の20年は、篤志家からの寄附と彼らの稼ぎだけで賄っていたそうです。長谷場は3年前に亡くなりましたが、本当に立派な人間でした。

「青少年福祉センター」の創設者、長谷場夏雄さん(1929〜2020年)。施設の詳細については、こちらのHPをご覧ください。

日本が本当に貧しかった戦後の混乱期ですね。児童養護施設は、当時「孤児院」なんて呼ばれていたと聞きました。アニメの『タイガーマスク』みたいな感じでしょうか?

荒船 そうですね。当時は孤児がとても多かったので、行政がトラックで孤児を保護してまわって、孤児院をつくっていたそうです。その名残で、児童養護施設は日本にたくさんあるんですよ。でも今、日本に孤児は、ほぼいません。

ああ、いわゆる身寄りが誰もいない〝孤児〟は。

荒船 両親が事故で亡くなったような子は少しはいますが、ほとんど親がいる子供。つまり虐待されてここに来た子たちです。

こんなに社会が豊かになったのに、不思議な話ですね。

荒船 日本は物質的には豊かになりましたが、精神的には豊かさが欠けてきているのかもしれません。だって少子化なんだから、本来なら児童養護施設の数や、そこに入る子たちの数は減るはずなのに、少なくともここ東京ではどんどん増えて、今や児童相談所に溢れんばかりの状況なんですよ。

なんと! それは知りませんでした。

荒船 今は親戚付き合いはもちろん、地域ごとのコミュニティも希薄になって、「知らない人に声をかけられたら逃げろ」みたいな時代ですよね? 社会が狭くなってきた、という理由もあるのでしょう。

近年、急速に広まってきた格差社会の影響も大きそうですね。

荒船 私たちの時代は、子供が産まれたらいったん生活のレベルは下げるものだったんですよ。でも、今はそこまでする気はないという両親が多すぎると思います。親子の関係すら希薄になっているような気もしますね。

じゃあ、こちらの生徒さんの親は豊かだったりもするんですか?

荒船 意外と豊かな人も多いですよ。私立学校に通っていたような子もいますし、決して経済的に貧しいから、というだけではない。

虐待やネグレクト以外にも、こちらの生徒さんの中には、軽度の知的障害などを抱えている子もおられるとか。

荒船 そうですね。いわゆる〝ボーダー〟の子もいます。障害者手帳を持っていれば、障害者枠での雇用が叶うんですが、そこまではいかないという子たちが、ある意味ではとても苦労するんですよ。社会の理解が少ないですから。

それぞれ複雑な事情を抱えているんですね。そういう子たちひとりひとりに向き合う職員さんたちも、きっと大変でしょう。

荒船 まずは根強い大人不信を払拭させるところから始まりますからね。そういう意味では、長谷場がやっていた時代よりも今のほうが難しいと思いますよ。あの頃はご飯をお腹いっぱい食べられたら、それでみんな幸せでしたから。

こちらで育ったお子さんたちは、どんなところに就職するんですか?

荒船 それぞれですね。うちの子たちはハローワークなどを使って自分で職を探すのですが、その子に向いた職業が見つかって落ち着くまで、何度でも探します。珍しいところではホストクラブに勤めているような子もいますが、プライドや目標を持ってのことであれば、それもよいと思っています。成人式ではみんながこれからの抱負を述べるんですが、とても感慨深いですよ。これが職員たちにとっての、何よりのご褒美なんです。もちろん、こうやって成人式を開催できるのも、ご寄附くださる皆さんのおかげです。スーツやお着物の販売業者さんに、立派な晴れ着やスーツをご提供頂いておりますから。

なるほど! 企業としてもそういった貢献の仕方があるわけですね。今回「ぼくのおじさん」がチャリティ蚤の市を開催するにあたって悩ましかったのが、いったいどんな施設であれば、安心して寄附ができるのか?という点なんです。こんなことを伺うのも恥ずかしいのですが、寄附先を選ぶ方法を教えてもらえますか(笑)? 中にはインチキみたいなところもあったりして・・・?

荒船 社会福祉法人に関しては、施設のホームページに決算書を載せないといけませんから、それをご覧になってみてはいかがでしょうか。公開する決まりなので、どの施設でも不明金などが出ない仕組みになっています。

なるほど、誤魔化せない仕組みになっているんですね! ちなみに今回の寄附金は、いったいどのように使われるのでしょうか?

荒船 施設の運営費に使わせて頂いております。たとえば「クリスマスプレゼントに」とか、使い道を限定した上でご寄附頂くこともありますよ。今回はどうしましょうか? 

それは知りませんでした! でも使い道は皆様にお任せしますので、微力ですがぜひお役に立ててください。たとえばお米などの食品をはじめ、お金以外の物品をご寄附するというやり方もあるんですか?

荒船 それもたくさん頂いており、大変助かっております。

いろんな寄附の方法があるんですね。

荒船 そうなんです。例えばご家庭で余った食器などを頂き、私たちがそれをバザーなどで売らせてもらうこともありますし。

モノによっては逆に迷惑にならないか、ちょっと不安だったりもするんですが。

荒船 ホームページなどを通してご相談頂ければ、すべてご返事致しますので、お気軽にご連絡ください。

自分もそうですが、日本人って〝寄附〟という行為が苦手というか、どうも文化として定着していないように思うんですよね。

荒船 残念ながらそうですよね。税金の問題もありますし。海外はキリスト教文化の影響もありますが、富裕層の間で寄附やボランティアは当たり前の行為になっています。寄附に対して税金がものすごく優遇されますので、税金を払うなら寄附をする、という富裕層も多いと思いますが。

確かに、お金がありすぎて困るっていう人も、世の中にはいますからね(笑)。実際のところ、こちらにお渡しする寄附金は所得控除できるんでしょうか? みみっちい話で恐縮ですが、小さな法人の代表としては正直言って、ちょっと不安でもありまして・・・。

荒船 もちろんです。社会福祉法人に対する寄附は、税額控除制度の適用を受けますから。「領収書兼寄附金受領証明書」を発行致しますので、確定申告の際に使ってください。

安心しました(笑)。

荒船 ちなみに「ぼくのおじさん」は、どうして私たちにご寄附をくださったんですか?

編集人の私はもちろん、「ぼくのおじさん」を読んでくれている読者の皆さんって、ファッションが大好きで、たくさんの趣味を持っている豊かな人たちだと思うんです。でも、世界的に貧富の差が拡大して、世界のあちこちで戦争が起きているこの時代に、自分が楽しいだけじゃ100%は楽しめない。ほんの少しでも、その関心やお金を困っている人たちに向けることができて、初めて心まで豊かになれるのかな、と考えているんです。こういった活動を通して、寄附という文化を、もっと日本にも定着させたいとも考えています。意地悪な言い方をすると、ぼくたちのような小さな媒体がこれをできるのであれば、あなた方はもっと大きなことができるでしょ、という思いもあります(笑)。

荒船 最近は「ぼくのおじさん」のように、ご寄附をお申し出くださる方々が増えてきたことは確かで、とてもありがたく思っています。でも、児童の生活費や、その数に見合った職員たちのお給料、老朽化していく建物や家電などの設備・・・。これで十分ということはありません。ぜひともこの機会に、児童養護施設の現状に目を向けてくださると幸いです。

まだ小さなイベントですが、この蚤の市をブラッシュアップさせて、いつかは社会に大きなうねりを巻き起こせたらと思っています。今回はありがとうございました!

チャリティ蚤の市の
売上と寄附金の
詳細を公開します!

●商品販売売上(現金による売上) ¥473,400

●入場時に頂いたご寄付 ¥44,500
●珈琲FAROさんから頂いたご寄付 ¥3,150
●Uryさんから頂いたご寄付 ¥1,650
○必要経費(搬入車駐車代)−¥3,000
=¥519,700

●商品販売売上(クレジットカード決済による売上)¥98,500
○カード決済時のsquareシステム手数料 −¥3,201
=¥95,299


●寄附額の合計/¥614,999

THANK YOU!
今回の蚤の市に
無償でご協力くださった
素敵なクリエイターや
お店の一覧

商品をご提供くださった方
●赤峰幸生さん(ファッションディレクター)
●アネモネさん(ヴィンテージストア)
●池田哲也さん(服飾評論家・ピザ店「ベッラ・ナポリ」オーナー)
●粕谷誠一郎さん(編集者)
●鴨志田康人さん(「ポール・スチュアート」クリエイティブディレクター)
●クレバレスコさん(レザーブランド)
●國立外套店さん(ヴィンテージストア)
●小林学さん(「AUBERGE」デザイナー)
●新谷学さん(編集者)
●松山猛さん(作家・編集者)

ご寄附してくださった方
●珈琲FAROさん
●Uryさん
●当日お越し頂いたすべてのお客様

さまざまな形で蚤の市にご協力くださった方
●共同開催して頂いた珈琲FAROさん
●告知バナーを制作して頂いたデザイナーの大塚將生さん
●当日現場を手伝ってくれた高原健太郎さん

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