服とゲームとN.Y.。
Advent(アドヴェント)
デザイナー
今井凱大の断片
撮影・文/山下英介
モードのようでもあり、クラシックのようでもあり。都会的でもあり、ローカルでもあり。上品でもあり、不良的でもあり・・・。なんだか不思議と気になるブランド、Adventの今井凱大(よしひろ)ささんに話を聞いてみた。いろんな要素が渾然一体になったAdventの服は、かっこいいことはわかるけれど、それがなぜかはわからない。いや、容易に〝わからせない〟とでもいうべきか。だから触れたい、着てみたい。「ぼくのおじさん」のアトリエでトランクショーを開催してくれるそうだから、ちょっとでも心にひっかかった人は、ぜひ遊びに来てくださいね。

この仕事について
ぼくは今29歳なんですけど、ファッションの仕事は成り行きではじめたようなものなんですよ。もともとサッカーをやりたくて大学に行ったんですけど、部活を3日で辞めて、ついでに付き合ってた女の子にも振られちゃった。それでなにか環境を変えようかなと思ってN.Y.に行ったら、そのまま1年くらい居ついちゃって。まあ若気の至りです(笑)。
N.Y.について①
N.Y.ではエルムハーストという街にあるアフリカ系のテーラーのもとで働いていました。といっても雇用されてたわけじゃなくて、お店の2階に居候させてもらってたんですよ(笑)。厳密にいうと思いっきり不正雇用なんですけど、2階に居候しているお手伝いさん、という立場で働いていました。彼らからすると日常なんですけど、ぼくにとってはすごく充実した時間でした。結局落第ギリギリになって帰っちゃったんですけどね。
N.Y.について②
そこってみんながイメージするような仕立て屋とはちょっと違ってて、黒人のコミュニティの洋品店みたいなお店だったんです。おじいちゃんの代から通ってるようなお客さんばかりだから、型紙も芯材も昔と一切変わらない。生地だって今ぼくが扱っているような高級品じゃなくて、よくわかんないブラックの毛織物みたいな感じで、オーダー価格は6〜700ドルくらい。お腹まわりが180㎝くらいあるようなおじさんが、前ボタンが閉まらないことを前提で買いにくるような店でした。今のぼくから見たら全然丁寧な仕立てってわけじゃないけど、洋服をつくって売るという生業を1年にわたって間近で見ることができたのは、すごくためになりました。

アメリカについて
はじめてアメリカに行ったのは高校生の頃。高校の派遣留学みたいなシステムで、サンディエゴに数ヶ月滞在しました。道端でチルしてるヒスパニックの人がそこらへんにいて、こんなに普通の人が道端でマリファナ吸ってんのかって、カルチャーショックは受けましたね。それからアメリカの自由さに憧れたのかな?
ブランドをつくった理由
日本に戻ってからはバイトを探したんですが、肉体労働が苦手だから仕事がないんですよね。それで人から紹介されたのが、とあるブランドのインターンだったんです。ちょうど立ち上げのタイミングだったので、インターンながらブランドが生まれて洋服がつくられていく全過程を見ることができました。そしてこれならぼくでも耐えられるかなって(笑)。ともあれ大学を卒業したら普通に就職しようと思っていたんですが、ある企業の採用担当者さんに「きみ、独立早そうだね」って言われて(笑)。見透かされたな、と思ってそのまま独立してブランドをつくっちゃいました。でもぼくが大学を卒業したのは2020年の9月。ちょうどコロナ禍の真っ只中でした。なので展示会が2回飛んじゃって、最初の1年はただお金が溶けるだけで、けっこう苦しかったですね。それでもいろんな人が助け舟を出してくれたりして、なんとなく形になりました。そうか、今年でもう6年目なのか・・・。
洋服について
祖母が洋服好きだった影響で、ぼくも生まれた頃からいい服着てるんですよ。ウチの中でもちゃんとシャツを着るような家庭で育ったので。なので高校生になって古着のシャツでも買おうかとなったら、ぼくだけ「Arrow」を選んじゃうし、バーバリー・プローサムだったら、ロベルト・メニケッティ期が最高みたいな(笑)。成人式のスーツも街のテーラーで仕立ててもらいました。今とほとんど趣味も変わっていないし、まあ幸運な環境だったと思います。






Adventについて①
ぼくがインターンしていたのって、パリを目指すようなブランドだったんですよ。でも自分がそういうデザイン性に富んだ服をつくれるかっていうと、ちょっと難しい。だから自分が好きなもの、着たいものだけつくるっていう方向性に自然とシフトしましたね。今の自分の気分を共有したいというか・・・。


Adventについて②
ぼくにとってのマストアイテムって、やっぱりジャケットなんです。カバーオールだったり、テーラードだったり、その日によって気分は変わるんですが。そういう嗜好ってぼくの年齢ではちょっと珍しいと思うんですけど、そこはやっぱり祖母の影響が強かったのかなあ・・・。デパート文化で育ってきたので(笑)。そんなわけでAdventのお客さんもぼくよりも歳上の方が中心で、30〜40代が多いですね。

趣味について
音楽ならオジー・オズボーンとかはよく聞きますね。70年代から90年代のアメリカやヨーロッパのロックがかかっている環境で育ったもので。でもマイケル・シェンカーとか言っても、同世代的には誰!?って感じですよね(笑)。映画は『スター・ウォーズ』から『座頭市』まで幅広く観てるかな。あとはゲーム。ぼくの仕事関係にもゲーム好きが多いので、けっこう盛り上がってます。
ものづくりのパートナー
ぼくは茨城県に住んでいるんですが、パタンナーさんは東京の日本橋で、工場は大阪や佐賀県の唐津などに点在しています。パタンナーさんは昔のゲームサウンドやメカが大好きな方で、趣味的にも合うので、もう一蓮托生ですね。ぼくのものづくりに付き合ってくれている方々って、ファッション業界にはいるんですが、いわゆる〝界隈〟とは縁遠い人たちばかりなんですよ。稼いだお金を時計じゃなくて超合金に使いたい、みたいなタイプ。実はうちの服って、世の中的にはかなりオーバースペックなことをやってるんです。こんなカジュアルなシャツに33針でミシン設定してくれる人なんて普通いないんですが、それをやってくれるのって、メカオタクだから(笑)。アムロ・レイじゃないですけど、「ぼくのほうがうまくミシン使えるんだ」的な気分なんですよね。





Adventのものづくり
Adventの服は、ビスポークの下請けをしているような小規模の工房というか職人さんに、ぼくが直接お願いして縫ってもらっています。もちろん縫う人の悩みは尽きないと思うけれど、そのほうがものづくりの熱量は共有しやすいですよね? よくブランドが成長するに伴ってクオリティが落ちる、みたいな現象ってあるじゃないですか。それって間に入る人間の数が増えるからなんですよね。
職人の癖を活かす
シャツジャケットって、シャツよりも高いけどアウターよりは安いっていう中間的なポジションが売り文句になっていて、なんかズルく感じません(笑)? そんなふうに思ってアウターの縫製士さんに本気のシャツジャケットを縫ってもらったら、見事にアウターの丸い雰囲気が引き出されました。実はこの縫製士さんはいわゆる「リバー仕立て」を得意とする方で、手まつりに慣れている職人特有の手癖なのか、ほかにはない柔らかさやアンニュイなムードを出せるんです。職人さんの持っている癖や適性を活かすってことは、メーカーとしてはすごく大切にしています。







襟や袖の立体感が実に美しいシャツジャケット。運針の細かさにも驚かされる。
職人の技術について
ぼくは幸運なことに、ほしい技術を持っている人にことごとく偶然出会えてきたんですよ。「リバー仕上げ」を日本で初めてつくった70歳すぎの職人さんに会ったことあるんですけど、教科書なんてないから、イタリアから輸入されてきたものを「こんな感じかしら」って言いながら見よう見まねでつくってたって。実はあの技術、どこから生まれてきたのかわからないんですよ。もはや博物館にお金を払って、技術と歴史を見せてもらっているような感覚ですね。




『スペースコブラ』について
なんだかぼく、陰キャ臭すごくないですか(笑)? でもファッションの仕事を志す時点で、根は陰キャじゃないですか。洋服で人よりカッコよく見られたい、とか思ってるわけだから。最近は職人さんと電話してて『スペースコブラ』の話題で延々と盛り上がったんですが、あれってサウンドからストーリーまで、当時の子供たちに向けてつくってるとは思えないくらい深みがありますよね? 大人が本気で遊んでいる熱量にやられます。それはぼくも同じで、たまたま題材が洋服だっただけなんでしょうね。そんなわけでぼくは世の中に堂々と顔を出してカッコよく決められるキャラじゃないんです。いつまでもクラスの隅っこにいるオタクなんですよ。

Adventのお客さんについて
いわゆるドメスティックブランドを着ているような方は少ないけれど、かといって全身メゾンやデザイナーズかというと、それとも違う。ただ、いわゆるクラシックな服に疲れた人は多いかな。うちのジャケットって、ちょっと肩が落ちても肩線がきれいに流れるように設計しているんですよ。オーバーサイズだけどオーバーサイズに見えない服というか。なのでオーダーに慣れたお客さんは、構造的な部分はぼくに一任してくれて、雑談しながら生地を見て、どんな形に仕上がるのかを想像しているほうが楽しいみたいです。ぼくは「ここんとこ、2センチ伸ばしときますね」みたいな。そんなふうに気軽に楽しくオーダーできる、受け皿みたいな場所になれたらいいなって思いますね。
Adventの将来について
将来ですか? いや、もともと欲が薄い人間なので・・・。いいクルマに乗りたいとか、いい時計がほしいとか思うこともないかなあ。普通のデザイナーだったらピッティやパリに出展するみたいなことを考えるんでしょうけど、ぼくは細々とやっていられたらいいタイプの人間なので。それよりは、お客さんが5年後も10年後もハッピーに通える場所をつくっておきたい。お客さんに喜んでもらえ続けたらそれでいいのかなって。

Advent
トランクショー
【場所】
Atelier Mon Oncle
住所/東京都新宿区水道町1-9 しのぶ荘(地下鉄東西線神楽坂駅から徒歩4分、地下鉄有楽町線江戸川橋駅から徒歩6分程度)
【開催日時】
3月14日(土曜)12:00~19:00
3月15日(日曜)12:00~18:00
【展開商品】
Adventの2026年コレクション
約6型のデザインをベースに、生地とサイズをお選びいただけます。
【オーダー価格の目安】
◯サファリジャケット約18万円台〜
◯シャツジャケット約12万円台〜
◯シャツ約4万円台後半〜
※選ぶ生地によって変動いたします。
【納期】
約3ヶ月。ご自宅まで配送させていただきます。
【入場】
予約優先
※所要時間60~90分 ※フリーのお客様も大歓迎いたします。
【決済方法】
クレジットカード・現金
【ご予約・イベントのお問い合わせ】
info@mononcle.jp もしくはDMにてお願いいたします。
伝えたいこと
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お知らせ
服とゲームとN.Y.。
Advent(アドヴェント)
デザイナー
今井凱大の断片 -
お知らせ
世界のトップテーラーも
加わった!
パワーアップした
Atelier Lavoroの
東京トランクショーに
みんな集まれ! -
お知らせ
〝謎の紳士〟が
秘蔵コレクションを
大放出!
「伊達商店」開催します -
お知らせ
【満席御礼!】
〜糸をたずねて三千里〜
赤峰幸生の〝PRO〟講義
「生地の学校」
いよいよ開校します! -
お知らせ
11月28〜30日
自由なお洒落を
楽しみ尽くした
40年の軌跡がここに!
スタイリスト
「青柳光則商店」
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お知らせ
見て締めて買って学ぼう!
「ぼくのおじさん」と
加賀健二さんの
コラボレートイベント
「ネクタイの学校」開催!
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テバジャケット
だけじゃない!
「フスト ヒメノ」の
スペインアウター
2度目の受注会! -
お知らせ
レザーのプロも太鼓判!
天才職人がつくる革小物
「クレバレスコ」が
帰ってくる -
お知らせ
洋服好きなら
絶対見逃せない!
「トーナイ」の
ポップアップ&
オーダーイベント
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6月28〜29日
P.J&CO.が帰ってくる!
現代に蘇った
ヴィンテージシルバーを
手に入れろ -
直筆〝ヤスヒコ〟サイン入り!
小林泰彦さんの新刊
『ヘビトラ大図鑑』の
書き下ろしイラストが
貴重な複製原画になった! -
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〝赤峰本〟の第二弾!
『赤峰幸生の流儀
着ること 生きること』
発売しました!
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(たぶん)世界初!
「ぼくのおじさん」が注目する
テバジャケットの
受注会を開催するよ!
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とっておきのコートと
ジャケットを手に入れろ。
コヒーレンスと
オルビウムの
ポップアップストアを開催! -
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業界人も熱視線を送る
2回目のトランクショー!
2月22〜24日、
「Atelier Lavoro」が
また来るぞ!
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なんともうすぐ90歳!
小林泰彦さんが
47年ぶりの
ヘビーデューティー本
「ヘビトラ大図鑑」を
出版するぞ!
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11月2〜3日開催!
P.J&CO.が提案する
奥深いヴィンテージ
シルバーの世界にようこそ
-
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ヴィンテージ好きも
モード好きも必見!
オーストラリアの新鋭
「Atelier Lavoro」が
日本初上陸
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この熱量を伝えたい!
鴨志田さんと坂田さんも
やってくる
コラボコートの
POP UP STORE
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8月3日〜4日!
平野史也さんの
オーダーイベント、
ここが見どころ! -
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「ぼくのおじさん」
公式ストアをチェック!
これがリアルな
スペインの
おじさん御用達! -
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実物はもっとすごいぞ!
HAN SHOEMAKERが
「ぼくのおじさん」のアトリエで
トランクショーを開催!
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極上生地を無造作に!
「ぼくのおじさん」と
赤峰さんが
バケットハットを
つくった!
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コヒーレンスの
ポップアップストアで
〝ぼくのおじさん〟
スタイルを手に入れよう!
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みんな集まれ!
「ぼくのおじさん学校」が
本屋B&Bで始まるよ -
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「ぼくのおじさんと
珈琲FAROの
チャリティ蚤の市」
結果報告!
みんなで〝寄附〟について
考えよう。
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すごい商品と見どころを
ちょっとだけ紹介!
「ぼくのおじさん」と
珈琲FAROの
チャリティ蚤の市
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11月25日に開催!
「ぼくのおじさん」の
チャリティ蚤の市 -
パリの「ぼくのおじさん」通信
ヴィンテージウエアと
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ごちゃ混ぜにしたら
見えてきた
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パリの日本人デザイナー、
松下貴宏さんは
どうして〝変な服〟を
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パリのLUTAYSが
正真正銘の
クラシックな
ベレー帽をつくった!
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1点ものの
スーツ生地でつくる!
『赤峰幸生の暮しっく』
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「ぼくのおじさん」が
パパスのウェブマガジンを
つくった!
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手に取ってくれた方、
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『赤峰幸生の暮しっく』に
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ぼくたちのネックウエア
「スカーフタイ」を巻いて
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パリの「ぼくのおじさん」通信
ジャーナリスト・
ジャン・ミシェルさんのエレガンス -
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『ぼくのおじさん』
創刊にあたって