2026.8.30.Sun
今日のおじさん語録
「人間、金があるからって決して幸せとは言えないよ。/車寅次郎」

第2回トランクショー開催!
変わりゆく靴づくり
環境のなかで。
いつまでもあると思うな
MINEZO
SPORTS SHOES!

撮影・文/山下英介

革靴とスニーカーを高度に融合した驚きのデザインが、国内外で話題を集めるMINEZO SPORTS SHOES。2025年夏に「ぼくのおじさん」が開催したトランクショーもおかげさまで大盛況のうちに幕を閉じたのだが、皆さんのリクエストにお応えして、この9月にも開催決定! 今日は編集人の山下英介が自ら注文し、近頃は毎日のように履いている靴を履いて、廣瀬友和さんの工房に向かった。

編集人の足の悩みを解消した
ストレスのない履き心地

MINEZO SPORTS SHOESを主宰する若き靴職人、廣瀬友和さん。そのプロフィールは「ぼくのおじさん」の前回の取材記事をご覧あれ。最近ではタイや韓国でのトランクショー、イタリアへの短期留学、多摩美術大学での講義など、多忙な毎日を過ごしている。

前回の廣瀬さんへの取材記事はこちら

山下 というわけで、前回のトランクショーで購入した靴が届いたんですが、履き心地、めちゃくちゃいいですね! ぼくが持っている靴でいうと、オールデンのモディファイドラストに近いような気もしました。

廣瀬 よかった。履き心地がいいって言われるのが一番うれしいです! モディファイドラストについてはたまに言われますが、設計思想としては割と近いような気がします。

山下 かかとから土踏まずまではしっかりホールドしてくれるけど、つま先にはゆとりがあるという。ぼく、外反母趾ぎみでタイトな靴が厳しいんですが、これならストレスなく歩けます! 

前回のトランクショーで編集人が注文して、数ヶ月履き込んだMINEZO SPORTS SHOES。デュプイ社のサドルカーフが、いい表情に光っている。それにしても驚かされるのは、履きはじめのストレスを全く感じさせず、足に優しいその履き心地。カジュアルからスーツまで何にでも合わせられるし、次回の海外旅行に持っていこうかな!?

廣瀬 じつはぼく、むかし営業職をやっていた頃は毎日いい革靴を履いていたんですが、靴職人になってからはサンダルで仕事ができるから、あまり履く必要がなくなって(笑)。でも、たまに履いてみると小指がめちゃくちゃ痛いんです。革靴のよさって、甲と踵と土踏まずをしっかりホールドしてくれることなんですが、そのうえで指先が痛くならない靴って、当時あまり思いつかなかったんですよね。そこで辿り着いたのがスポーツのデザインだったんです。

山下 買ったばかりでこれなら、履きこむとさらによくなっていきますよね?

廣瀬 履き始めから足になじむように、木型を調整してつくってはいますが、2年くらい履くとさらになじんで、次の段階にいきますよ(笑)!

山下 それは楽しみだなあ! これからどんなふうに扱っていくかも考えどころでして、いわゆる高級紳士靴のように磨きながらきれいに育てるか、ある程度スニーカーとしてラフに扱うか、それによってもこれからの雰囲気は変わってきますよね。

廣瀬 お客様に見せる必要がないぼく自身の私物は、クリームをほとんど入れずに履くことが多いですね。今日履いているのはウチが特注でつくった、ベジタブルタンニンなめしの革にシルバーの箔を乗せたものなんですが、傷がついても芯が出てきて、いい感じなんですよ。

廣瀬さんが自ら国内のタンナーに別注した、オリジナルのシルバーレザー。履きこむと茶芯が顔を覗かせて、それもまたいい雰囲気。
革靴としてはちょっと奇抜にも思えるシルバーのレザーだが、スポーツシューズとしては当たり前! 廣瀬さんは時計やアイウエアの色味と揃えて、その着こなしを楽しんでいた。実は前回のトランクショーでは、こんな楽しい注文をたくさん頂いたのだ。

山下 シューツリーは入れてますか?

廣瀬 ぼくは基本的に入れないですね。ウチの靴は革靴と違って先芯を入れていないので、履いているとトウが落ちてくるんですが、それがスポーツシューズらしいし、ぼくの靴の完成形だと思うんです。どうしてもシューツリーを入れると保形しようとして、トウが上がっていっちゃうんですよね。

山下 なるほど、普通の革靴と違って反り返ってくるわけじゃないんですね!

イタリアへの留学で
学んだこと、感じたこと

山下 そういえば、昨年のトランクショーの後はイタリアの靴学校で勉強をされてきたとか。どんなことを学ばれたんですか?

廣瀬 ぼくが3ヶ月ほど通っていたのはミラノの「アルストリア」という国際製靴学校で、平日はイタリア式のパターンメイキングを朝の9時から夕方の5時までずっと勉強していました。そして週末になったら、ヨーロッパのビスポークシューメーカーや靴にまつわる博物館などの施設を見学するという毎日ですね。

山下 すでにこんなすごい靴をつくれるのに、さらに勉強する必要があるんですか?

廣瀬 この学校は靴づくりというよりパターンメイキングを教える学校なので、どちらかというとデザイナー向きなんですよ。だから通っている学生たちも、卒業後はメゾンのデザイナーを目指す、みたいな人たちばかりでした。なのでぼくも、ヨーロッパの靴ならではのデザインや曲線のムードを学びにいったというか。

山下 やっぱり日本とは違う空気感がありますもんね。

廣瀬 あとはヨーロッパを拠点にしないといけないような、靴の博物館をたくさん回れたのも大きかったです。ミラノを拠点にしていても2日かけないと行けないような博物館が、たくさんあるんですよ(笑)。

山下 どこか面白かったところはありますか?

廣瀬 スイスには、バリーがむかし靴づくりの拠点にしていた山あいの街があるんですが、そこにはすでに工場はなくて、跡地が博物館になっているだけ。その街はかつてバリーによって栄えたのですが、今では寂れきっていました。でもこうした靴の博物館って、ヨーロッパでも本当に誰も行かないんですよ。


山下 日本でもそうですが、地方の小さな博物館や資料館って、運営は厳しそうですよね。

廣瀬 もちろん歴史やデザインといった分野における学びはありましたが、ぼくとしてはこうした貴重な遺産をどうすれば保全できるのか、ということを考えるきっかけになりましたね。

山下 いわゆる革靴の未来がどうなるのか、職人じゃなくても不安になりますよ。

廣瀬 現場でいうと、今年のナフサショックで靴に使用する接着剤の価格がとてつもなく高騰しましたが、それ以外にもすべての材料費が高くなっていて、ぼくがブランドを始めた6年前と較べると、2倍にはなっているんです。ウチはなるべくまとめ買いする習慣がついていたので、多少は乗り切れてはいますが・・・。

山下 接着剤が手に入らなくなって、オーダーストップしていたブランドもありますもんね。

廣瀬 日本では、10万円以下で買えるグッドイヤーウェルト製法の革靴が比較的多く残っていますよね? たぶんこの2〜3年くらいで、かなり厳しくなりますよ。それほどに靴づくりの現場は追い詰められています。

山下 ぼく自身もそうした状況は理解して、なんとか応援したいと思いつも、現実的にはこの価格の高騰に、なかなかついていけなくなってはいますからね・・・。

廣瀬 なのでぼく自身も、いわゆる靴好き、服好きの方々が楽しめる価格帯ものものを、考え続けなくてはいけないと思っています。やっぱりMINEZOも、今と同じことをやり続けたら、価格は高くなる一方なので。

山下 いわゆる工場生産のレディメイドみたいな計画もあったりするんですかね?

廣瀬 そうですね。考えてはいます。ただ、MINEZOと同じデザインで簡易的につくりました、みたいなモノは絶対イヤなんですよ(笑)! やるならMINEZOとは全く違うものづくりにしたいと思います。

山下 MINEZOの靴を履いて思うのは、こういう工藝品に近いプロダクトをぼくたちが現実的な価格で買えることって、けっこう奇跡的なことだなと。これって廣瀬さんが若くて職人として脂が乗り切ってるからできることでもあるし、社会情勢を考えると、手製靴やビスポークスーツの文化って、昔のように富裕層だけのものになっていかざるを得ないんじゃないかなあ、と思うんです。いつまでもあると思うなMINEZO SPORTS SHOES、ですよ(笑)。

廣瀬 確かにぼくもまだ36歳ですが、このクオリティの靴を、今のスピードでこれから何十年もつくり続けることは、現実的に難しいと思います。だから最近よく思うのは、これからあと何種類デザインして、何足つくり続けられるんだろう、ということ。だからこそ一足一足を無駄にしないようがんばるしかないですね。

トランクショーでは
こんな靴がつくれます!

さて、ここからは9月12〜13日に神楽坂のAtelier Mon Oncleで開催する、トランクショーの告知をさせてもらいます。

MINEZO SPORTS SHOESのオーダーシステムについてはHPの記載がもっとも詳しいのですが、足の計測→フィッティングサンプルの試着→デザイン選び→革選び→オプションの選択というのが大まかな流れ。

ここまではほかのブランドのパターンオーダーシステムと変わりはないのですが、足に合わせて細やかに木型の微調整をしてもらえる点や、ベルクロやパンチングなど、〝スポーツシューズ〟ならではのデザインがオプションとして用意されている点が、他のブランドとは一味違うところ。

レザーはデュプイ社のサドルカーフをはじめ、高級紳士靴における名品はひと通り揃えつつも、シルバーやカラーレザー、オーストリッチ・・・といった変わり種もたくさん用意されている。なので編集人のように革靴寄りの靴だけではなく、より遊んだスニーカー寄りの靴も注文できるのです。

「スプリンター」モデルとクラシックなボックスカーフの組み合わせ。レザーにオプションのパンチングを施して、ちょっと軽快に見せるのもいいね。
こちらはスエードでつくった「ランナー」モデルで、甲まわりとライン部分をカーフの表革で切り替えたもの。スニーカー的発想で、2〜3種類のレザーを使うのもおすすめです。
こちらはスキンステッチを施した「ケイジャー」モデル。ブラックスエードならスーツにも合わせられそう。
こちらも「ケイジャー」。ボックスカーフを組み合わせた、クラシックな一足。
ボウリングシューズをモチーフにした「クランカー」。コンビとパンチングで遊んだ一足。
自転車競技用のシューズをモチーフにした「サイクリスト」。アイボリーのゴートレザーでつくると、カジュアルながら気品のある佇まいに。リネンスーツにも、カーゴパンツにも合いそうです
写真のようにソールを塗装することも可能。
「ランナー」にオプションのベルクロフラップをあしらった一足。ホワイトステッチも効いているなあ。
クラシックなスエードとベルクロとの相性も抜群。
こちらは新作で、80年代のサイクリングシューズにインスパイアされたもの。アッパーの流れるようなステッチが美しい。
サイクリングシューズを真っ赤なレザーで。
こちらもオプションだが、オーストリッチレザーもご用意しています。編集人も履いてみましたが、とても柔らかくて軽くて、履き心地は抜群でした!

実は前回のトランクショーでは、ややスニーカー寄りの注文が多かったという印象。もちろんそれはとっても嬉しいのですが、編集人の個人的な希望をいえば、今回は我が同志・・・というかトラッドやクラシック志向の強い方にも来ていただきたいと思います。だってこの靴、スーツにだってによく似合うから!

ベースボールスパイクモチーフの「スラッガー」をデュプイ社のサドルカーフで仕立てた、編集人の私物。白シャツ&チノパンみたいなトラッドな装いはもちろんのこと、コットンやリネンのスーツにだってよく似合う。秋冬はグレイフランネルのスーツと合わせたいな。


MINEZO SPORTS SHOES
トランクショー

【場所】
Atelier Mon Oncle

住所/東京都新宿区水道町1-9 しのぶ荘(地下鉄東西線神楽坂駅から徒歩4分、地下鉄有楽町線江戸川橋駅から徒歩6分程度)



【開催日時】
●9月12日(土曜)12:00〜19:00
●9月13日(日曜)12:00〜19:00
※都合により直前に変更する可能性もありますのでご了承ください。



【展開商品】
⚫︎MINEZO SPORTS SHOESのオーダーシューズ(受注生産)
¥162,800(税込)~
※レザーや仕様のオプションなどで価格は変動いたします



【納期】
ご注文から約7~8ヶ月後に納品させていただきます。



【入場】
予約優先
※フリーのお客様も大歓迎いたしますが、シューズのご注文をご検討されている方は、なるべくご予約いただけるとスムーズなご案内が可能です。


【決済方法】
クレジットカード/現金



【ご予約·イベントのお問い合わせ】
info@mononcle.jp
もしくはDMにてお願いいたします。

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